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土方

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落書きとか感想っぽいのとか。



土誕’10

土誕10

夕方橋の上にて誰かさんと待ち合わせ。

ポニ方

ポニ方

あの別嬪さんっぷりを再現するのは無理・・・。

今日もいい天気

一般市民と同じように、この隊服というか、その属する組織に嫌悪感を持ってるのだと思っていた。
武装警察真選組。
対テロリスト用特殊部隊として江戸の人々の安全を守る為に発足された幕閣の末端に連なる組織だが、守るべき江戸の人々からの評判はあまりよろしくない。
やり方が荒っぽいとか、見た目がチンピラくさいとか、主な標的である攘夷志士への同情とか、天人に牛耳られてる幕府への反感とか、単純に権力への反感とか、まあいろいろな要素があいまって、ハッキリ言ってあまり好かれてはいない。
ましてやおそらく元は攘夷志士だったのだろう。
今は活動してる様子はないが、桂や高杉なんかとも顔見知りじゃないかと推測される人物だ。
嫌悪感を感じるのは当然だろうと思う。
いや、そう思っていた。
だが、どうやらそういうこだわりは無いらしと最近気が付いた。
酔いつぶれた近藤さんを引き取りに来てくれと連絡を受け赴いたスナックで、一緒に飲んでたらしいあいつと出くわす事は一度や二度じゃなかった。
見回りパトロール中に総悟にまかれ、見つけ出したら団子屋の店先で、団子を一緒に食べながら楽しげに会話してたなんて事もザラにある。
山崎も「そいや今日旦那にあって・・・」などと何やかんや言ってるから、会えば世間話やら情報交換(流行の店だのなんだののくだらねぇ情報だが)してるらしい。
どころか一般の隊士連中ですら、道で会うと気軽に挨拶を交わしている。

(つまりは、あいつの嫌悪してる対象は真選組じゃなくて俺個人限定ってことだよな…)

そう結論付けて、深く吸った煙を空に向けてふうっと吐き出す。
かぶき町内にある緑化公園は平日の昼間だというのに、親子連れやら若いカップルで賑わってる。
青と緑のコントラストが鮮やかな平和な風景の中、不釣合いなくらい剣呑な空気を纏わせて木陰のベンチを柄の悪いチンピラの如く占領している黒尽くめの男───真選組鬼の副長こと土方は、同じ黒でもいつもの洋装の隊服ではなく黒の着流しを着ている。つまりは、非番を持て余していた。
バカが付くほどの仕事人間の土方は、特にコレといった趣味もないので(気が向けば映画館に足を運んだりもするが趣味という程ではない)、非番になると特にすることもなくブラブラするくらいしかない。
しかしブラブラしてると何故か行く先々で出くわすのだ。
顔を合わすたびに眉間にシワを寄せ、いちいち喧嘩を売ってくる銀髪に。
非番だというのに、かえって疲れるという事が何回か続いた結果、こうやって公園でボーっと過ごす事が増えた。
特に何かをするわけでもなく只ボーっとしてるものだから、埒も明かないことをやたらと考える時間が増えた。増えた結果、思考の半分くらいがあの銀髪の事だというのが土方にとっては腹立たしいことだった。
腹立たしいのにまたつらつらと考えてしまうという悪循環だ。

(まあ嫌われんのは慣れっこだがな・・・)

むしろ好かれる事の方が稀なのだ。
そう考えると近藤さんやみつばはかなりの奇跡なんだと思う。
こんな誰からも嫌われるような自分に好意を持って接してくれるなんてよっぽど心が広いのだ。

(それに比べるとあのヤローは大人気ねぇんだよ!)

(嫌いならば無視すればいいだけじゃねぇか)

いちいちつっかかってくんのだって疲れるだけだろうと思うのに、何故か毎度毎度喧嘩になってしまう。
土方も売られた喧嘩は捨て置けないタイプなので、つい買ってしまう。
それの繰り返し。
そりゃあ初対面と二度目と、いきなり斬りかかられて、いい印象を持つ馬鹿は居ないだろうが、その時の対応は立派な大人のものだったから、まさか根にもたれるとは思わなかった。
それとも単に生理的につい反応してしまうって奴なんだろうか?
たとえばゴキブリを見つけると何をされたわけでもなく殺虫剤を噴きつけてしまうように、反射的なものなのかもしれない。

(生理的な嫌悪ってどんだけだよ?!)

その日暮らしのマダオみてぇな生活してるクセして人望があるらしく、飲み屋の主人やら団子屋や定食屋の親父やらにも顔が利く。
いっつも引っ付いてるチャイナ娘やめがねにも懐かれてる。
そういや人見知りが激しく警戒心の強い総悟があれだけ気安くしてるってのも珍しい。
そんな相手は姉であるみつばと近藤さんくらいしか土方は知らない。
そんだけ懐が深い奴なのだろう。
なのに・・・。

(そんな奴に生理的嫌悪をもたれる俺ってどんだけだよ?)

いや別に慣れてるけどな───と、また最初の思考に戻る。それの繰り返し。
嫌われてるのには慣れてるし、別に誰に嫌われたってどうでもいい事なのに、なんでその嫌われてる相手の事をこんなに考えてしまうのか?
それは答えを出してはいけないような気がするのに、どうしてか考えることを止められなかった。

「あー…空が高ぇなー・・・」

そうつぶやいて、土方は短くなったタバコを深く吸い込んだ。

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